③小規模宅地等の減額特例(贈与税の税金対策情報)

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 ③小規模宅地等の減額特例

小規模宅地等の特例とは
 事業用の土地や居住用の土地は生活基盤となります。にもかかわらず、路線価を基礎にそのまま課税され、相続税を支払うために当該土地を処分しなければならないとなれば、生計が維持できなくなる可能性があります。そこで、被相続人の事業用宅地や居住用宅地について「限度面積」までに限り通常の評価額から一定割合の減額をして相続税の課税対象とする「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」が置かれました。
 これは相続税制における最大の優遇措置であり、税金対策上は、これを活用していかに減額される金額を大きくするかが重要になります。以下では制度の概要や要件等について簡潔に説明しますが、実際上、相続人が誰なのか(配偶者なのか子なのかetc.)、子であれば被相続人と生計を共にしていたのか、相続前に自宅を持っていなかったかなどの要件を詳細に検討して対策しておく必要があるので、この点は事前に税理士等に相談することをおすすめします。


1.制度の概要
 被相続人の居住用宅地、又は事業用宅地等を相続した場合に宅地等の評価額を減額する特例。


2.適用対象者
 相続又は遺贈により宅地等を取得した個人


3.特例対象宅地等
 ① 相続開始直前に
  イ.被相続人又は同一生計親族の事業又は居住の用に供されていたこと
  ロ.国の事業の用に供されていたこと(但し平成19年10月1日以降原則廃止
 ② 建物、構築物の敷地の用に供されていたこと
 ③ 棚卸資産等に該当しないもの
 ④ 申告期限までに遺産分割されているもの
  (注)申告期限までに分割されていない場合、3年以内に遺産分割を行うか、
     3年を超えても一定の場合には税務署長の承認を受け、
     更正の請求を行うことでこの特例が適用できます。


4.限度面積要件
 ① 特定事業用宅地等、国営事業用宅地等
   特例同族会社事業用宅地等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 400㎡
 ② 特定居住用宅地等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 240㎡
 ③ ①②以外の場合・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 200㎡
 ④ 上記のうち、2種類以上である場合・・・・・・・・・・・・・・・ ※参照

  ※ ④の場合以下の算式で計算した面積までの宅地が特例の適用対象となります。

  〔①の面積 + ②の面積×5/3 + ③の面積×2〕 ≦ 400㎡

   これは、例えば①の特定事業用宅地と②の特定居住用宅地の両方
   を選択する場合であれば、それぞれ対象面積を以下のように検討し、
   計算することを意味しています。

<ケース1> 
 ①の特定事業用宅地を優先的に選択した場合の②の特定居住用宅地の適用面積

  ②の面積 = 240㎡ - ①の面積×3/5

<ケース2>
 ②の特定居住用宅地を優先的に選択した場合の①の特定事業用宅地の適用面積

  ①の面積 = 400㎡ - ②の面積×5/3


 具体的な計算例を見てみましょう。以下の前提条件の場合、それぞれのケースにおける適用対象面積、減額金額、課税対象宅地金額はそれぞれ以下のようになります。

  前提条件
   ①の特定事業用宅地 ・・・ 面積:350㎡ 評価額7,000万円(1㎡当たり20万円)
   ②の特定居住用宅地 ・・・ 面積:120㎡ 評価額3,000万円(1㎡当たり25万円)


 適用対象面積
  <ケース1>の場合
   ①の特定事業用宅地・・・350㎡
   ②の特定居住用宅地・・・30㎡(∵240㎡-350㎡×3/5)

  <ケース2>の場合
   ①の特定事業用宅地・・・200㎡(∵400㎡-120㎡×5/3)
   ②の特定居住用宅地・・・120㎡

 減額される金額
  <ケース1>の場合
   ①の特定事業用宅地・・・5,600万円(∵7,000万円×350㎡/350㎡×80%) 
   ②の特定居住用宅地・・・ 600万円(∵3,000万円×30㎡/120㎡×80%)

  <ケース2>の場合
   ①の特定事業用宅地・・・3,200万円(∵7,000万円×200㎡/350㎡×80%)
   ②の特定居住用宅地・・・2,400万円(∵3,000万円×120㎡/120㎡×80%)


相続税の課税対象になる宅地の金額
  <ケース1>の場合
   ①の特定事業用宅地・・・1,400万円(∵7,000万円-5,600万円) 
   ②の特定居住用宅地・・・2,400万円(∵3,000万円-600万円)

  <ケース2>の場合
   ①の特定事業用宅地・・・3,800万円(∵7,000万円-3,200万円)
   ②の特定居住用宅地・・・ 600万円(∵3,000万円-2,400万円)

 この結果、特定事業用宅地と特定居住用宅地の課税対象金額合計は、

 <ケース1>の場合には3,800万円(∵1,400万円+2,400万円)
 <ケース2>の場合には4,400万円(∵3,800万円+ 600万円)

 となり、<ケース1>の場合の方が<ケース2>の場合よりも減額される金額が大きく、課税上有利であるため、特定事業用宅地を優先的に選択して税額計算するべきであるということがわかります。


5.減額割合
 ① 特定事業用宅地等、国営事業用宅地等
   特定同族会社事業用宅地等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80%
 ② 特定居住用宅地等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80%
 ③ ①②以外の特例対象宅地等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  50%

特定事業用宅地等
 特定事業用宅地等とは、相続開始直前において被相続人等の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業を除く)の用に供されていた宅地等で、その宅地等を取得した人のうち次の要件のすべてに該当する親族がいるものをいいます

 ① その宅地等が、被相続人の事業の用に供されていた場合
  イ.その宅地等の取得者が被相続人の事業を申告期限までに承継して営んでいること。
  ロ.申告期限までその宅地等を有していること。

 ② その宅地等が、被相続人と生計を一にしていた親族の事業の用に供されていた場合
  イ.その宅地等の取得者が、相続開始前から申告期限まで
    その宅地等の上で引き続き事業を営んでいること。
  ロ.相続税の申告期限までその宅地等を有していること。

国営事業用宅地等
 国営事業用宅地等とは、相続開始直前において国の事業の用に供されていた宅地等で、その宅地等を取得した人のうちに被相続人の親族がおり、その親族から相続開始後5年以上その宅地等を国の事業の用に供するため借り受ける見込みであることについて、旧日本郵政公社の証明がなされたものをいいます。(但し平成19年10月1日以降原則廃止

特定同族会社事業用宅地等
 特定同族会社事業用宅地等とは、相続開始直前に被相続人及びその親族その他被相続人と特別の関係がある者が発行済株式の総数又は出資の総額の50%超を有する法人の事業の用に供されていた宅地等で、その宅地等を取得した人のうち次の要件のすべてに該当する被相続人の親族がいるものをいいます。

 ① 相続税の申告期限においてその法人の役員であること。
 ② 相続開始時から相続税の申告期限まで引き続きその宅地等を有し、
   引き続きその法人の事業の用に供していること。

特定居住用宅地等
 特定居住用宅地等とは、相続開始直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、その宅地等を取得した人のうち次のいずれかに該当する親族がいるものをいいます。
 ① その宅地等が、被相続人の居住の用に供されていた場合
  イ.被相続人の配偶者
  ロ.被相続人と同居していた親族で、相続開始時から申告期限まで引き続き居住し、
    かつ、その宅地等を有している人
  ハ.被相続人の配偶者または相続開始直前において
    被相続人と同居していた法定相続人で、相続開始時から申告期限まで
    その宅地等を有している人

 ② その宅地等が、被相続人と生計を一にする親族の居住の用に供されていた場合
  イ.被相続人の配偶者
  ロ.被相続人と生計を一にしていた親族で、相続開始前から
    相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、
    かつ、その宅地等を有している人


6.手続
 相続税の申告書にこの特例の適用を受ける旨その他一定事項を記載すると共に、一定書類の添付が必要となります。


7.適用除外
 この特例は、被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した人(その被相続人から相続時精算課税の適用を受ける財産を取得した人を含む)が、特定同族株式等の相続時精算課税の特例の適用を受けている場合は、適用除外となります。


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